ミニチュアカー ミュージアム

GIMMICK ミニカーのギミック

GM シボレー コルベア モンザ GT (GM CHEVROLET CORVAIR MONZA GT)

ミニカーのギミック

 コーギーのギミックに対抗して他のミニカーメーカーも様々なギミックを考案しています。今回紹介するデンマークのテクノ社のユニークなギミックはミニカーの分解/組立てが簡単に出来るというものです。普通のミニカーは分解などできませんが、あえて簡単に分解/組み立てができるような構造としてありそれを売り物にしていました。テクノ社は木製の組立て玩具を製作しておりミニカーにも分解(壊す)して組立てるという楽しみを追加したものです。

 

 モデルとなっているシボレー コルベア モンザ (モンツァ) GTは市販された車ではなく、1962年に発表されたデザインを目的とした実験車です。ベースとなっているのはGMのリアエンジンのコンパクトカー シボレー コルベア(1960年)でこのエンジンをミドシップエンジン配置に変更し未来的なスポーツカーに仕立てたものです。デザイナーは初代コルベット スティングレイ(1963)をデザインした日本人のラリー シノダ氏で、コルベット スティングレイにも通じるデザインで現在でも十分に魅力的です。(実車の画像などはこちらで見ることが出来ます)

 

 ミニカーはテクノの型番930(1964年発売)です。ここでは分解/組立てが出来るギミックに注目して取り上げましたが、このミニカーはそのようなギミック抜きでも素晴らしいミニカーです。まず実車の流れるようなボディ デザインが忠実に再現されています。特に大きなガラスで覆われたコクピット部分はプラスチック部品で巧みに再現されています。この車の最大の特徴であるこのキャノピー部分とリアのカウル部分は大きく開くことができます。また尖ったボディ先端にあるヘッドライトのカバーも実車のように開閉することが出来ます。さらにテクノの独自機構で前輪のステアリングも可能となっています。(ステアリング機構についてはフォルクスワーゲン ビートルのページで以前説明しています)

 

 分解/組立てを売り物としているだけあって主要な構造部材はダイカスト部品でしっかりと作られていて、現在も問題なく分解/組立てができます。(ただあまりひつこくやるとそれなりに傷んできますのでご注意) 各部の動作と分解された状態を以下の動画で見てください。

 
 
 
 

関連情報、箱

 このミニカーは1969年に1150円で購入しており当時のコーギーなどよりかなりお高いミニカーでした。このような分解/組立てギミックを付けていたことが高価であった理由の一つでもありますが、価格に見合う分だけ他社のミニカーより高品質であったことは確かです。


 テクノは老舗のミニカーメーカーで現在もブランド名は存続しています。(ただし経営的には昔のテクノとは別会社のようです) このモンザ GTと同時期に作られたミニカーは種類は少ないものの何れも非常にレベルが高く人気があります。よく見かける物としてはベンツ230SL、ジャガーEタイプなどがあり、他社があまり手がけていない北欧のボルボやサーブの乗用車やトラックなどもテクノの代表的なミニカーです。なお現在のテクノはトラックに特化してミニカーを製作しているようです。(Tekno Website ここで紹介されているミニカーは日本にはほとんど輸入されていないようです)


 分解は画像でご覧頂いたように、底板を外すとあとは簡単にバラバラになります。コイルスプリングによる後輪サスペンション、前輪の操舵機構、ライトカバーの構造などが分解すると良く分かりメカ的な好奇心を満足させてくれます。ただ組立てるのは低学年の子供には少し難しいかもしれませんし、小さな部品はなくす可能性が高いです。

 

 分解/組立てギミックは私の知る限りでは他社にはありません。もちろん精密なミニカーで分解することが出来るものはありますが、それはギミックという訳ではありません。このギミックはモンザ GT以外にも、同時期に製作されたベンツ230SL、ムスタング、オールズモービル トロネードなどにも採用されていました。

monza gt & monza gt roadster
モンザ GT & モンザ GT ロードスター 1/43

 モンザ GTはテクノのヒット商品で非常に多く生産されており、たくさんのカラーバリエーションがあり特別カラーとしてクロームメッキのものもありました。またこのミニカーには型番931でオープントップのロードスターもありました。左の画像はクロームメッキのロードスターと並べたみたものです。

 

 紹介したものはカウル部分とフロント部分が別の色になっていていますが、ボディ全体が単色のものもあります。またクロームメッキのほうはフロント部分に黒い矢印のストライプがはいっていますが、クロームメッキでないカラーのものにストライプが入ったものもあります。

 

corvair testudo

シボレー コルベア テスチュード (TESTUDO) 
POLITOYS製 1/43 画像をクリックするとカウルが開きます 

 余談ですがコルベアーをベースにしたデザイン実験車はもう一台ありました。有名なカーデザイナー ジュージアーロがベルトーネ在籍時にデザインした「シボレー コルベア テスチュード」でこちらはよりインパクトの強い個性的なデザインとなっています。発表されたのは1963年ですが、この車のカウルの開き方などがモンザ GTに少なくない影響を与えたといわれています。

 

 またモンザ GT以外にもテスチュードのコンセプトが影響を与えた車が他にもあります。特徴的なヘッドライトですぐ気が付くのはランボギーニ ミウラです。またポルシェ928も同じヘッドライトですが、ポルシェ928のほうは全体的なフォルムもこの車に影響されていると思います。

 
monza gt box
 マウスカーソルを載せると分解図にかわります

 60年代のミニカーの箱はこのテクノの箱のように極めてシンプルな紙箱でミニカーがちょうど入るだけのコンパクトなものでした。(昔のミニカーは箱を保管するにも場所を取らなくて助かるのです)


 このころのミニカーには簡単にとれてしまうような細かい部品は付いていませんでしたのでこれで十分だった訳です。


 箱にはギミックを説明する分解図が描かれています。

 
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