ミニチュアカー ミュージアム

GIMMICK ミニカーのギミック

ジャガー E タイプ 2+2 (JAGUAR E TYPE 2+2)

ミニカーのギミック

 イギリスを代表する高級車ジャガーの名声は1948年に発表されたスポーツカーXK120から始まります。このXK120は市販車のままのテスト走行で212km/hという高速を達成する当時の常識を越える高性能車でした。もちろんレースでも活躍しXK120のレース仕様のCタイプは1953年のルマンで優勝し、CタイプにつづくDタイプは1955年からルマンで3連勝しています。このDタイプをベースにして作られた市販車がE タイプです。最初のE タイプは1961年に発表され、ダイナミックなスタイルで227km/hの高性能ながら同性能のアストン マーチンの半額以下で販売されたE タイプは圧倒的な人気がありました。その後1968年に外観を変更しシリーズ2となり1971年に6気筒エンジンをV型12気筒エンジンに変更しシリーズ3に発展し1975年に生産中止となっています。

 

 ミニカーは型番335(生産期間1968~69年)で、初代のE タイプのクーペ(2+2タイプ)をモデル化しています。コーギー最盛期に作られたこのミニカーはコーギーらしさの点ではその代表的なものといって良いと思います。コーギーらしさとは極端にいうと実車の忠実なスケールモデルではないということです。似ていないということではなく実車のもつイメージが拡大解釈されているのですが、最近のリアルなミニカーが好きな方にはあまり評価されない味付けです。(E タイプのミニカーではなくコーギーのE タイプといったところです)

 

 このミニカーはボンネットが大きく開き忠実に再現された6気筒エンジンを見ることが出来ます。このエンジンはボディ下からダイカスト部品の排気管がきちんと接続されているといった凝りようです。ドアは開閉でき円形の多連メータを備えたインパネなど室内もしっかり作り込まれています。さらにリアゲートも横方向に開閉しリアシートをスライドさせてラゲッジスペースを拡大させるといったギミックまで付いています。

 まさにギミックてんこ盛りといったところですが、それらのギミックからこのミニカーにかけたコーギーの情熱が感じられる逸品です。このE タイプのミニカーではないコーギーのE タイプを以下の動画で見てください。

 
 
 
 

ジャガー E タイプのミニカー、箱

 このミニカーは1969年に850円で購入しています。このミニカーもこの時期のコーギーの宿命で1年ほどで「WHIZZWHEELS」版(型番374 生産期間1970~76年 ドア開閉ギミックなし)に切り替わっています。ただこの1年ほどの生産期間でも40万台近くが販売されています。(「WHIZZWHEELS」とはコーギーのフリーホイールの商標です)

 

 E タイプは人気のあった車ですのでミニカーは多くのメーカーから出ています。そのなかからコーギーと同じ初代E タイプのものを選んで比較してみました。以下の画像がそれらのミニカーです。 右側から、BOX MODEL(型番8440 生産1992年頃)、ディンキー(型番131 生産期間1968~78年)、コーギーです。いずれも1/43サイズですが、下の左側の画像のように大きさがまちまちです。ただしこれには訳があってE タイプでも後席を設けた2+2は全長が230mm長いのです。

jaguar minicars

 BOX MODELは通常のE タイプのモデルで103mm×38mmとほぼ正確な縮尺になっています。ディンキーは2+2のモデルですのでその分全長が長いのです。(112mmですのでやや長すぎますが、ちゃんとキャビン部分が長くなっています) これに対して2+2のモデルであるコーギーは全長が短くかつ幅が広くできていて全長を短めにモデル化するコーギーの特徴がはっきり出ています。(キャビン部分が間延びして長い2+2より通常のクーペの方がかっこいいのでこのようにしたのかなとも思いますが)

jaguar size corgi jaguar minicars

ジャガー E タイプのミニカー

 この辺が、E タイプのミニカーではなくコーギーのE タイプと私が書いている理由です。

 コーギーのジャガー E タイプには今回紹介したモデル以前に作られていた古い物もあります。下の右側の画像で、ジャガー E タイプ クーペ(型番307 生産期間1962~64年 1/46)です。サイズが違いますが同じE タイプとは思えないぐらい感じが異なります。

 
jaguar box


 以前にも書きましたが、箱をみるとコーギーの力の入れ方が分かります。ごらんのようにリンカーン コンチネンタルなどと同じ形式の専用箱になっていますのでコーギーの自信作だったことが分かります。

 

 箱の下の部分にはイギリス国旗があしらってありますし、背面にはジャガー E タイプの説明が3カ国語で書かれています。この当時のジャガー E タイプはイギリスを代表するスポーツカーでしたからコーギーの意気込みも理解出来ます。そのジャガーもいまやフォード傘下ですから、すこし寂しい気がします。

 
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