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フォルクスワーゲン タイプ 82E コマンダー ドイツ 1943年
ドイツ語の「VOLKSWAGEN」とは直訳すると「国民車」で、この名前は戦前のナチス政党が掲げた「国民車構想」に由来していました。「国民車構想」とは国民の誰もが買える安価な実用車を開発するというもので、同じような構想を抱いていたフェルディナント ポルシェ博士がその開発にあたりました。1938年に完成したプロトタイプにはKdF(Kraft durch Freude:喜びを通じての力)という政治スローガン的な名前が付けられました。
「国民車構想」で開発されたフォルクスワーゲン KdFを買う為の積立て貯金システムが開始され、20万人以上がこのシステムに加入しました。1938年にはKdF専用の生産工場も完成しましたが、1939年にドイツが第2次世界大戦を始めた為、KdF専用生産工場はKdFをベースとした軍用車の生産に転じることになり、結局KdFは一般国民にはほとんど渡らずじまいで敗戦となってしまいました。戦後このKdFをベースにしてビートルが登場しました。
ミニカーは1997年頃に発売されたリオ製です。軍用車に転用されたKdF タイプ 82E コマンダー(指揮官車)をモデル化しています。艶消し塗装されて無線アンテナが付き、ヘッドライトが灯火管制の為ひさしの付いたブラックアウトタイプに変更され、ジープのようなアウトドア用のタイヤを履いてます。軍用車として変更された点が実車に忠実に再現され良く出来ています。リオはこのほかにも迷彩を施したKdF軍用車を数種類モデル化しています。リオ以外のKdF軍用車のミニカーは軍用車をモデル化しているホビーマスターの1/48、ビテスのタイプ 83 荷台付トラックなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フォルクスワーゲン タイプ 166 シュビムワーゲン ドイツ 1944年
シュビムワーゲンはフォルクスワーゲン KdFをベースにした水陸両用軍用車で、前述したのキューベルワーゲンの発展型でした。独語のシュビメン(SCHWIMMEN)は英語のSWIMで泳ぐという意味なので、シュビムワーゲンは泳ぐ車という意味です。車台がバスタブのような構造になっているので、船のように水に浮きます。車体後部にはエンジンによって駆動される3枚羽のスクリュウ式推進装置を持ち、それを使って水上では10km/hで走行できました。スクリュウ式推進装置は使わないときは駆動軸とのカップリングを外して、上に跳ね上げておくことができました。
空冷4気筒エンジンは985㏄から1131cc(24.5HP)に強化され、水上から陸に上がる際などの悪路走破性を高める為に4輪駆動方式(パートタイム式)が採用されました。1941年にタイプ 128 シュビムワーゲンが完成し、1942年からはホイールベースを短縮して悪路走破性を向上させた改良型のタイプ 166に変わりました。構造が複雑なのでキューベルワーゲンほど多くは生産されておらず、高い機動性が必要な部隊に配備されました。1944年まで生産され総生産台数は約15000台でした。
ミニカーはビテス グループのブランドで軍用車をモデル化していたビクトリア(VICTORIA)製で1998年に発売されました。プロポーションが良く、水上で使われる手漕ぎ用オールやスコップなどの細かな備品がプラスチック製パーツで再現されていてとても良く出来ています。水上走行で使われるスクリュウ式推進装置の跳ね上げもできます。同じ仕様で幌付のバリエーションもありました。見た目が面白いユニークな車ですので、軍用車マニアでなくても一台欲しくなるミニカーです。これ以外のシュビムワーゲンのミニカーはミリタリー物をモデル化しているホビー マスターの1/48、童友社の1/43、シュコーの1/87などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像とスクリュウ式推進装置を下す動作の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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アームストロング シドレー ランカスター イギリス 1945年
アームストロング シドレー社はアームストロング ホイットワース(Armstrong Whitworth)社とシドレー ディーシー( Siddeley-Deasy)社が合併して1919年に設立された会社で航空機エンジン製造で有名でしたが、自動車製造でも高級車メーカーとしても高い評価を得ていました。アームストロング シドレーの自動車部門は創業当初から高級車市場をターゲットとしていました。同社の乗用車は、その堅牢な作り、信頼性、そして上質な乗り心地で知られ、「英国人好みの渋い中型サルーン」と評されました。
第2次世界大戦後の1945年に4ドアセダンのランカスターとそれをベースにした2ドア クーペのハリケーンが登場しました。ランカスターはトーションバーによる独立懸架式フロントサスペンションとリーフスプリングを備えたリアアクスルを特徴とし、6気筒2Lエンジンを搭載したスポーティな高級セダンでした。1950年代には4気筒2.3L/6気筒2.3L/3.4Lエンジンを搭載する4ドアセダンのサファイア シリーズが登場しました。特に6気筒3.4L(150HP)エンジンを搭載したサファイア 346は、最高速160km/hと非常に高性能でした。
しかし同社の自動車は同じカテゴリーのジャガーのようなブランド力がなく高価であった為、あまり売れませんでした。航空機産業の再編が進み、アームストロング シドレーの航空機エンジン部門は1966年にロールス ロイスの傘下となって消滅し、自動車製造部門もライバルの台頭で1960年代に消滅しました。
ミニカーは2011年に発売されたオックスフォード製です。アームストロング シドレー ランカスターの初期型をモデル化しています、オックスフォードは2009年頃から輸入されるようになったイギリスの新ブランドで、老舗のコーギーのブランドであるバンガーズに似たノスタルジックな作風で、主に古いイギリス車をモデル化しています。このランカスターも特別に凝ったところはありませんが、特徴的なフロントグリル周りがうまく再現されていて最近のミニカーとして良く出来ていました。また室内もそこそこ良く仕上げてありました。オックスフォードはバリエーションでアームストロング シドレー ハリケーン、サファイアなど15種類ほどをモデル化しています。アームストロング シドレーの当時物ミニカーはディンキーやスポットオンがモデル化していました。以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)