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フォード D800 トラック イギリス 1965年
イギリス フォードの商用車は1930年代のフォード Y型の商用バン仕様(E83W)から始まりました。この商用車はフォードソン(FORDSON)のブランド名で展開されました。フォードソンはフォードの農業用トラクターのブランドとして知られていますが、イギリス フォードの商用車のブランドとしても使われました。1937年には5t積みの大型トラック フォードソン 7Vが登場しました。(実車画像→ フォード Y型 商用バン仕様(E83W)) (実車画像→ フォードソン 7V)
1949年に大型トラック 7Vを後継するフォードソン テームズ ET6/7が登場、1954年に小型車アングリアをベースにした小型商用バンの300Eが登場しました。1957年にE83Wを後継するキャブオーバー型商用バンのテームズ 400Eと、大型トラック ET6/7を後継するテームズ トレーダーが登場しました。なお1957年に商用車のフォードソン ブランドはなくなりフォードに戻りました。1965年にテームズ 400Eはトランジットに、テームズ トレーダーはDシリーズに変わりました。(実車画像→ フォード 300E) (実車画像→ フォードソン テームズ トレーダー)
キャブオーバー式商用車はエンジン整備の為にキャブを傾けて(チルトして)開く必要がありますが、Dシリーズはカウンターウエイトを使う方法でほぼ片手でキャブの開閉ができました。このようにDシリーズは、ライバルのGM系列のベッドフォード TK(1959年登場)などに比べて近代的な構造のキャブオーバー式トラックでした。エンジンは4/6気筒のガソリン/ディーゼルで、1967年にV型8気筒7.7Lディーゼルを積むイギリス フォード最大の大型トラック D1000が追加されました。Dシリーズは1981年に後継のカーゴ(CARGO)シリーズに切り替わりました。(実車画像→ フォード カーゴ CF7000 1986)
ミニカーはデンマークのテクノ製でブランド表記がTEKNOからKIRKに変わった1970年頃に発売されました。フォード D800 ダンプ トラックをモデル化したテクノの傑作ミニカーでした。50年以上も前に作られた昔のミニカーですが、私の知る限りでは、1/43サイズではこれが一番精巧で凝ったギミックを持つ商用車ミニカーであると思います。(単なるスケールモデル的な精巧さだけなら、現在のヘルパやブッシュの1/87の商用車の方が優れていますが) プロポーションが良く実車の雰囲気がうまく再現されています。ギミックを付けるとプロポーションが崩れると言われることがありますが、技術力のあるメーカーではそんなことはありません。このミニカーのプロポーションとギミックの出来ばえを見れば、それは技術力の低いメーカーの言い訳に過ぎないことが分かります。
テクノはこれよりホイールベースが長いトラックもモデル化していて、荷台に企業ロゴを印刷した販促プロモーション用モデルのバリエーションも多くありました。同時期にコーギーも同じようなフォードのトラックを数種類(カートランスポーターなど)モデル化していますが、それはD800ではなく、アメリカ フォードのHシリーズでした。それ以外のD800のミニカーはディンキー(ダンプカーや道路清掃車など) やマッチボックスの当時物もありました。(最近のものはないようです) Dシリーズより以前のトラック、テームズ トレーダーやテームズ ET6はディンキー(英)やスポットオンの当時物などがありました。 以下はフロント/キャブのドア開閉ギミック動作の画像と、キャブのチルト動作の画像です。半開きのサイドウィンドーと内張付きのドアはスムーズに開閉し、室内も良く再現されています。キャブのチルト動作は実車同様ににキャブ全体が前ヒンジで開き、エンジンや補器類が再現されています。エンジンが左に45度傾けて搭載されていることまでわかります。なお荷台やエンジンなどが白い軟質プラスチックで再現されていて、あまり色合いがリアルでないのは、玩具としての安全上の配慮でしょう。(軟質プラスチックは乱暴に扱っても壊れにくいことから採用されています)
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フォード コルチナ (コーティナ) MK II イギリス 1966年
イギリス フォードの大衆車フォード コルチナは1966年にMK IIにモデルチェンジしました。エンジンも含めてシャーシの構造はコルチナ MK Iを踏襲していました。外観のデザインはオーソドックスなものとなり、車幅が60㎜大きくなったので室内は広くなりました。1967年に新設計のエンジンに変更され、4気筒1.2Lが1.3L(54HP)に4気筒1.5Lが1.6L(64HP)に拡大され、1.6L(82HP)エンジンを搭載した1600GTが追加されました。
先代同様にロータスがチューンしたDOHC 1.6L(106HP)エンジンを搭載し足回りを固めた高性能版ロータス コルチナも設定されました。1968年に1600GTの豪華版の1600Eが追加されました。1969年にフロントグリルなどの意匠が小変更されました。コルチナは割安な価格で2/4ドアセダン、5ドアワゴン、高性能版GT、ロータス コルチナといった幅広いバリエーション展開されたことから、BMCの主力モデルADO16シリーズを販売台数で追い越してベストセラーカーとなり大成功しました。1970年にコルチナ MK IIIにモデルチェンジしました。
ミニカーは1967年に発売されたディンキー(英)製の当時物です。フロントグリル全体を金属製パーツで構成したディンキー(英)らしいがっちりとした造形で、プロポーションは正確にできていました。初代に比べるとおとなしい印象のMK IIですが、ミニカーもその地味な感じがうまく再現されていました。ボンネット/ドア/トランクが開閉するギミック付きで当時のミニカーとして良く出来ていました。実車はベストセラーカーで良く売れたはずなのに、当時物ミニカーは何故かこれとマッチボックスの物しかありません。(デザインが地味なせいでしょうか?) 当時物ミニカー以外ではバンガーズの1/43、オックスフォードの1/43と1/76などがあります。 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリア/トランク開閉の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フォード ゾディアック MK IV イギリス 1966年
1966年にフォード ゼファー/ゾディアック MK IIIは新型のV型4/6気筒エンジンを搭載したMK IVにモデルチェンジしました。ボディは一回り大きくなり、角張ったフロントグリルの造形などアメリカ フォードのフェアレーンあたりと似たデザインとなっていました。ロングノーズ ショートデッキのアメリカ車的スタイルはかっこよかったのですが、V型エンジンはコンパクトでしたので、ボンネットは無駄に長く室内はあまり広くなかったそうです。(エンジンの前にはスペアタイヤを収納できるスペースがありました) (実車画像→ フォードのフェアレーン 1962)
ゼファーはV型4気筒2L(82HP)/6気筒2.5L(104HP)エンジンを搭載し、上級車のゾディアックはV型6気筒3L(128HP)を搭載していました。どちらも4ドアセダンと5ドアワゴンがあり同じサイズのボディでしたが、ゾディアックは4灯式ヘッドライトで外観が差別化され内装や装備が豪華でした。全輪独立懸架サスペンション、全輪ディスクブレーキが採用され足回りは先代よりレベルアップしていました。4段変速/3段自動変速で、最高速はゼファーが156km/h(2.5L)、ゾディアックが166km/hの性能でした。1972年のモデルチェンジでイギリスフォードとドイツ フォードの共通モデルとなったコンサル/グラナダに名前が変わりました。
ミニカーは1966年に発売されたディンキー(英)製の当時物です。ゾディアックの4ドアセダンをモデル化しています。プロポーションが良くとらえてあり、前後の灯火類に全てラインストーンを使った豪華な仕上げとなっていました。4ドア、ボンネット、トランクの全てが開閉できるギミック付きです。当時の1/43サイズでの4ドア開閉ギミックはレベルの高いギミックで、ドア開閉部の建付けもガタがなくしっかり出来ていました。ディンキー(英)の持てる技術を注ぎ込んだ当時としては素晴らしい出来ばえで、同社の傑作の1台といえます。ゼファー/ゾディアック MK IVの量産ミニカーは2020年現在でもこれとマッチボックスの当時物、ブルックリンのランスダウン(ホワイトメタル製)ぐらいしかないので、車種的にも貴重なミニカーでした。 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリア/トランク開閉の画像です。エンジンはV型だとわかる程度のラフなものですが、エンジンの前には実車同様にスペアタイヤが収納されています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フォード コルセア 2000E イギリス 1967年
前述したように失敗作となったフォード コンサル クラシックの後継車として、1963年にコルセアが登場しました。個性的なフロントのデザインは、フォード サンダーバード 1961年式のイメージをダブらせたものでした。サンダーバードは4灯式ヘッドライトですが、2灯式ヘッドライトにしたのはアメリカ車的なデザインで失敗したクラシックから学んだ教訓が生かされたようです。ボディ形式は2/4ドアセダンで、シャーシや主要な部品はコルチナと共有していましたので、当初はコルチナと同じ4気筒1.5L(58HP)エンジンを搭載し、4段変速で最高速130km/hの性能でした。
1965年には新型のV型4気筒1.7L(66HP)エンジンが追加され、さらに1966年にはV型4気筒2L(82HP)エンジンも追加されました。1966年にコーチビルダー アボット製のエステート ワゴンが追加され、1967年にはビニールレザートップ仕様で豪華な内装を持つ上級グレードの2000Eが追加されました。コルセアはフォードの中型車として成功し1970年まで生産され、総生産台数は約31万台でした。コルセアは一代限りで、上級グレードは1970年に登場したコルチナ MK IIIが、それ以外は1968年に登場していたエスコートが引継ぎました。
ミニカーは1967年に発売されたディンキー(英)製の当時物です。豪華仕様の2000Eをモデル化していますので、実車に即した黒いビニールレザートップ仕様となっています。プロポーションが良く特徴的なフロントの造形がうまく再現され、1960年代のミニカーとして良く出来ていました。ボンネットが開閉するギミック付きです。なおディンキーはこれより前に型番130でもコルセアをモデル化していて、これはそのバリエーション的なものでした。このようなバリエーションが作られたということはコルセアに人気があったことの証拠でしょう。(実車と同時期に製作されていた当時物ミニカーにはその時代の世相が反映されているのです) これ以外のコルセアの量産ミニカーはマッチボックスの当時物とカララマ(オックスフォード製と同じ物)の1/43があります。 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリアの画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フォード エスコート MK I イギリス 1968年
1968年にフォード アングリアの後継車のエスコートが登場しました。個性的なフロント グリルを持ち、フェンダーラインに少し抑揚のついたスポーティなスタイルでした。2ドアセダンと3ドアワゴン(バン)の構成で、標準仕様はヘッドライトが丸型でそれ以外は角型でした。オーソドックスな構造の後輪駆動車で、当初は4気筒1.1L(40HP)/1.3L(52HP)エンジンを搭載し、4段変速(3段AT)で最高速137km/hの性能でした。1967年にヨーロッパ フォードが設立されたので、1969年からエスコートの左ハンドルがドイツでも生産されました。
1970年に4ドアが追加され、64HPにパワーアップした1300GT、ロータス製DOHC 4気筒1.6L(105HP)エンジンを搭載した高性能版のツインカムが設定されました。1970年にツインカムがコスワース製DOHC 4気筒1.6L(120HP)エンジンを搭載するRS1600に変わり、コルチナ用の1.6L(86HP)エンジンを搭載したメキシコが追加されました。1972年にSOHC 4気筒2L(100HP)エンジンを搭載するRS2000(ドイツ向け)が追加されました。それらの高性能版はラリーで大活躍し、エスコートのスポーツイメージを高めました。1974年までイギリス/ドイツ合わせて約200万台が生産され大ヒットしました。1975年にエスコート 2代目にモデルチェンジしました。
ミニカーは1968年に発売されたディンキー(英)製です。角型ヘッドライトの上級仕様車をモデル化しています。ディンキー(英)の少し厳つい作風のせいで、曲面的な実車のイメージから少し外れた出来ばえになっています。ただしこれは現代のスケールモデル的な観点からの評価で、作風がミニカーメーカーの個性であった時代のミニカーとしては良く出来ていました。(最近の中国製ミニカーはどれも同じ出来ばえで、ブランドの個性というものはないですが) ボンネット/ドア/トランクが開閉するギミック付きです。これ以外の当時物ミニカーとしてはポリトーイ、メーベトイ、シュコーの1/66などがありました。当時物以外ではラリー仕様車が多いですが、トロフュー、バンガーズ、ミニチャンプスの1/43と1/18、イクソなどがあります。 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリア/トランク開閉の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)