ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

DELAGE D8 TORPEDO 1932 FRANCE

DELAGE D8 TORPEDO
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DELAGE D8 TORPEDO


RAMI 37 1/43 115mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約5m 全幅約1.7m エンジン 変速機: 8気筒 4.1L 102HP 4段変速
性能: 最高速120km/h  データーベースでドラージュのミニカー検索

ドラージュ D8 トルペード フランス 1932年

 

 フランス人技術者 ルイ ドラージュが1906年に製作した最初の車はド ディオン ブートン製の単気筒エンジンを搭載した小型車でした。この車は翌年の小型車レースで優勝しその後もレースで活躍し名声を高めていきました。1914年にはインディ 500に優勝するなど1920年代にはフランスの代表的なGPカーメーカーとなっていきました。ドラージュは1925年のフランス GP、スペイン GPに優勝しましたが、その後のGP規定の変更でレース活動から離れました。

 

 1930年代のドラージュはフランスを代表するエレガントな高級スポーツカーとなっていきました。そのなかでも最も有名なモデルが1929年に発表されたD8で、8気筒4.1L(102HP)エンジンを搭載していました。D8にはショート ホイールベース版のD8 S、エンジンを145HPにパワーアップした高性能版(最高速160km/h)のD8 SSがありました。D8のボディ形式はスポーティなオープンカーのトルペード(TORPEDOとは魚雷の意)が典型的なものでしたが、フォーマルなフェートン(セダン)もありました。

 

 

 ミニカーは1960-1970年代に発売されたラミー(RAMI)製で、これは1968年頃に発売されたものです。ラミーはフランスの自動車博物館に展示されているクラシックカーを1/43サイズでモデル化していました。ドラージュのボディの多くを担当していたコーチビルダーの「Letourneur et Marchand」(レットヌール&マーチャンド)が架装した優雅なトルペードをモデル化しています。車輪部以外をカバーした前後フェンダー、フロントウィンドー横に付いたサイドウィンドー、ツートンのカラーリングなど当時保存されていた実車を忠実に再現しています。フロントグリルにプラスチック製メッキパーツを使いボンネットが脱着できるなど、このドラージュはラミーの後期に作られた出来の良い傑作でした。これ以外のドラージュ D8のミニカーはエリゴール、イクソ、ソリドなどがあります。 以下はフロント/ボンネットを取り外した状態の画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

DELAGE D8 TORPEDO 1
DELAGE D8 TORPEDO 2

 以下は1978年頃に発売されたエリゴール製のドラージュ D8S 1932 (1/43 型番1003)の画像です。D8 SはD8のショートホイールベース版で、あまりフランス的なデザインではないですが、このようなやや硬派のモデルなど実車にはバリエーションが多かったようです。青/紺のツートンカラーが綺麗で、細部も結構リアルな作りで当時としては良い出来ばえでした。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DELAGE D8 TORPEDO 3
DELAGE D8 TORPEDO 4

 以下は1978年頃に発売された上記エリゴール製のバリエーションで幌を立てた ドラージュ D8 S 1932 (1/43 型番1004)の画像です。カラーリングと幌以外は上記と同じです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DELAGE D8 TORPEDO 5
DELAGE D8 TORPEDO 6

 以下は2007年頃に発売されたフランスのミニカー付雑誌「VOITURES CLASSIQUES」(仏語でクラシックカー)のNo.32 ドラージュ D8 SS フェルナンデス&ダリン 1932 (1/43)の画像です。メーカーはイクソで、イクソのカタログモデルでは型番MUS046で色違いが発売されています。フェルナンデス&ダリン(FERNANDEZ & DARRIN)とは当時の有名なコーチビルダーの名前で、この車のような落ち着いたシックなデザインが多かったようです。ドラージュとしてはややおとなしいデザインですが、ブガッティのような2トンカラーがフランス的です。ミニカーは実車のカラーリングを忠実に再現していて、細部の仕上げも良く安価な雑誌付ミニカーながら、かなり良い出来ばえです。(実車画像→ ドラージュ D8 SS フェルナンデス&ダリン 1932) (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DELAGE D8 SS FERNANDEZ & DARRINO 3
DELAGE D8 SS FERNANDEZ & DARRIN 4

 以下はフロント/リアの拡大画像と室内のの画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DELAGE D8 SS FERNANDEZ & DARRINO 3
DELAGE D8 SS FERNANDEZ & DARRIN 4

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DELAGE D6-70 1936 FRANCE

DELAGE D6-70
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DELAGE D6-70


IXO MUS057 1/43 101mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.3m エンジン 変速機: 6気筒 2.7L 68HP 4段変速
性能: 最高速120km/h  データーベースでドラージュのミニカー検索

ドラージュ D6-70 フランス 1936年

 

 ドラージュ D8の解説に記載したように1930年代のドラージュはフランスを代表するエレガントな高級スポーツカーでした。8気筒エンジンを搭載したD8に次いで1930年に6気筒3L(75HP)エンジンを搭載した小型のD6が登場しました。D6には長短2タイプのホイールベースがあり、当時のコーチビルダーがセダン、クーペ、カブリオレなどを架装しました。オリジナルのD6は1933年に生産中止となりましたが、その後もエンジン排気量が異なるバリエーションが追加され戦後の1950年代まで生産されました。ミニカーのモデルとなっているD6-70は短いホイールベースに6気筒2.7L(68HP)エンジンを搭載していました。

 

 1933年にD8シリーズに8気筒4.1Lエンジンを2.7Lに縮小したD8 15が追加されました。1930年代の世界大恐慌による不景気でD8 15やD6など拡販を期待して追加した車があまり売れず、経営不振となったドラージュは1935年に同じような高性能車を製造していたドライエに吸収合併されました。ドライエとの合併後もドラージュは作られましたが、戦後の1954年にドライエがオチキスに吸収されドライエ/ドラージュの両ブランドは消滅しました。

 

 

 ミニカーは2015年に発売されたイクソ製のMUSシリーズです。実車はコーチビルダー フィゴーニ & ファラスキー製のクーペで、D6-70としては良く知られている車です。ミニカーはプロポーションが良く、フロントグリル、ワイヤスポークホイール、フェンダーのクロームモールなどの細部の仕上げもレベルが高く、良く出来ています。なお細部の仕上げが違いますが同じ型を使ったものがフランスのミニカー付雑誌「Collection "Voitures Françaises d'Autrefois"」のNo.35にありますので、元々このミニカーはそれ用に作られたようです。これ以外のドラージュ D6のミニカーはスパーク(レジン製)のクーペとレース仕様、ミニチャンプスのレース仕様などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

DELAGE D6-70 1
DELAGE D6-70 2

 以下は2005年に発売されたスポーク製のドラージュ D6 1937 (1/43 型番S0601)の画像です。これも上記のD6と同じフィゴーニ & ファラスキー製のクーペをモデル化しています。スパークのミニカーとしては初期の物でこれも良く出来ていますが、上記のイクソ製と比べるとフロントグリルのロゴや室内などがやや見劣りします。購入してから約15年経過しましたが、レジン製モデルで懸念されるボディの変形は今のところありません。(ただし急に劣化が進むことがありますので、後数年は要注意の時期です) なお今回(2022年11月)現状をチェックしましたが特に問題は発生していません。 (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DELAGE D6 1
DELAGE D6 2

 以下は1980年代に販売されたと思われるMETAL 43製のドラージュ V12 #4 フランス GP (1/43 型番1211)の画像です。(オークションで入手したので販売時期不明) METAL 43はドイツのモデルカー ショップ ダンハウゼン((DANHAUSEN) PMA ミニチャンプスの前身)のブランドで、1970-1980年代にホワイトメタル製ミニカーを製作していたウエスタンモデルがOEMしていました。1937年にGPレースカーとして開発されたドラージュ V12 プロトタイプをモデル化しています。この車は親会社のドライエ 135のシャーシに新開発したV型12気筒4.5Lエンジンを搭載し、当時としては革新的な流線形ボディを架装していました。1937年のフランス GPに参戦しましたが、練習走行中に破損して本戦は不参加だったようです。ミニカーは曲面的なウィンドースクリーンや大きなテールフィンなど特徴的な流線形ボディがうまく再現されていて、昔のミニカーながら良く出来ています。ホワイトメタル製なのでずっしりと重いのも、重厚な感じがして個人的には好きです。同じ車をスパーク(レジン製)もモデル化しています。(実車画像→ ドラージュ V12 1937) (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DELAGE ANDREAU V12 1
DELAGE ANDREAU V12 2

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DELAGE D8 120 1939 FRANCE

DELAGE D8 120
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DELAGE D8 120


SOLIDO 31 1/43 123mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約5.3m 全幅約1.76m エンジン 変速機: 8気筒 4.8L 115HP 4段変速
性能: 最高速136km/h  データーベースでドラージュのミニカー検索

ドラージュ D8 120 フランス 1939年

 

 世界大恐慌による1930年代の不況で高級車が売れなくなったことでドラージュは経営破たんし、1935年に同業のドライエに吸収合併されました。合併後もドラージュはドライエの最上級車として存続し、D8シリーズは1935年のD8 85(3.6L 85HP)、1936年のD8 100(4.3L 90HP)、1937年の最後のモデルD8 120(4.8L 115HP)とエンジン排気量が拡大されていきました。D8の最初の8気筒4.1Lエンジンはドラージュの設計でしたが、D8 120の8気筒4.8Lエンジンはドライエ 135の6気筒エンジンに2気筒を追加したものに変わりました。

 

 ドラージュとドライエは名前が似ていてさらにドライエがドラージュを吸収合併しているので両車を混同しやすいですが、どちらもフランス車が最もフランス的であった1930年代を代表する車でした。両車とも当時のフランスのコーチビルダーが贅を尽くした魅力的なデザインのボディを架装していました。それらのなかには退廃的で奇抜なデザインのものもありましたが、それもこの時代のフランス車の魅力でした。戦後の1954年にドライエはオチキスに吸収されドライエ/ドラージュの両ブランドは消滅しました。

 

 

 ミニカーは1975年に発売されたソリド製です。D8 120のカブリオレをモデル化しています。実車は全長5mを超える大型車ながら2ドアのカブリオレという1930年代流の贅沢な車です。コーチビルダーはアンリ シャプロン(Henri Chapron)です。ソリドのクラシックカーのミニカーは当時一級品の出来ばえでした。ただ1970年代のミニカーですので現在のようには細部をリアルに再現していませんが、実車の全体的なイメージは良く再現されています。赤/黒のカラーリングが綺麗で、私は後方に飛び出した丸いテールライトの付いたリアエンドの造形を気に入っています。これ以外のドラージュ D8 120のミニカーはイクソのエアロクーペ、ミニチャンプスのカブリオレ、スパーク(レジン製)のクーペ/カブリオレなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

DELAGE D8 120 1
DELAGE D8 120 2

 以下は1977年に発売された上記のソリドのバリエーションでドラージュ D8 120 クーペ デビル 1939 (1/43 型番51)の画像です。こちらは御者が操る昔の馬車スタイルに似せたフォーマルなクーペ デビル形式(運転席のみオープンとなっているセダン形式)の高級車です。ドアとキャビン部分以外は上記カブリオレと同じです。 (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DELAGE D8 120 3
DELAGE D8 120 4

 以下は2014年に発売されたイクソ製のドラージュ D8 120-S プルートー エアロ クーペ 1937 (1/43 型番MUS054)の画像です。この「エアロ クーペ」と称される流線形デザインの車は、コーチビルダー プルートー(POURTOUT)によるものです。以下に1939年式のエアロ クーペも紹介していますが、どちらもセンターピラーのないサイドウインドーや後方に伸びたリアフェンダーなどの基本は同じです。これは以下の1939年式より2年年式が古いのでフロントウインドーがまだ2分割で流線形ボディはシンプルな造形ですが、1939年式ではリアのテールフィンやフロントグリル横のでっぱりなど装飾的な付加物が増えています。(コーチビルダーが違っていることもありますが) ミニカーはプロポーションが良く、フロントグリルや室内などの細部も良く再現されています。この車はスパークでもモデル化されています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DELAGE D8 120-S AERO COUPE 1
DELAGE D8 120-S AERO COUPE 2

 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DELAGE D8 120-S AERO COUPE 3
DELAGE D8 120-S AERO COUPE 4

 以下は2007年頃に発売されたフランスのミニカー付雑誌「VOITURES CLASSIQUES」のNo.10 ドラージュ D8/120 ルトゥルヌール & マルシャン エアロ クーペ 1939 (1/43)の画像です。(オークションで入手しました) メーカーはイクソで、イクソのカタログモデルでは型番MUS010で発売されています。名前のルトゥルヌール & マルシャン(LETOURNEUR & MARCHAND)とは、当時のドラージュの代表的なコーチビルダーで1930年代に空力的なボディを手掛けるようになり、この車はその代表的なデザインで「エアロ クーペ」と称されました。センターピラーのないサイドウインドーや後ろに伸びたリアフェンダーなどが特徴です。見た目重視で装飾が多い華美なデザインがこの時代のフランス車の魅力ですが、この車はその点で格別に魅力的です。ミニカーは実車どおりの金色のカラーリングで、上記のエアロ クーペ同様に良く出来ています。(実車画像→ ドラージュ D8/120 ルトゥルヌール & マルシャン エアロ クーペ 1939) (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DELAGE D8 120 LETOURNEUR & MARCHAND AERO COUPE 1
DELAGE D8 120 LETOURNEUR & MARCHAND AERO COUPE 2

 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DELAGE D8 120 LETOURNEUR & MARCHAND AERO COUPE 3
DELAGE D8 120 LETOURNEUR & MARCHAND AERO COUPE 4

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