ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

RENAULT CAMION (TYPE AG?) 1910 FRANCE

RENAULT CAMION (TYPE AG?)
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
RENAULT CAMION (TYPE AG?)


MINIALUXE 10 1/43 100mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4m 全幅約1.6m エンジン 変速機: 2気筒 1.2L 8HP 3段変速 3段変速
性能: 最高速45km/h ?  データーベースで戦前のルノーのミニカー検索

ルノー カミオン (タイプ AG? ) フランス 1910年

 

 前述したようにルノー タイプ AGのタクシーで成功したルノーは商用車にも進出し、ルノーのバスやトラックがフランス中に広がり、ルノーはフランス最大の自動車メーカーに成長していきました。これはその商用車の一例でルノー カミオン(CAMION)です。カミオンとはフランス語でトラックやバスの意で、商用バンはフランス語でカミオネット(CAMIONNETTE)といいます。

 

 画像のミニカーは年式から判断して、タクシーに使われたタイプ AGのトラック仕様をモデル化しているようです。(4気筒エンジン搭載のタイプ BZあたりかもしれませんが) 荷台にはワイン?の樽のようなものを積んでいますが、フランスは農業国でもあるので、このような農業関係のトラックの需要が多かったようです。ちなみに戦後に大ヒットしたシトロエン 2CVも同じような貨物運搬需要で売れたとのことです。

 

 

 ミニカーは1960-1970年代に発売されたMINIALUXE(ミニオール)製です。この時代のトラックはあまり知られていないのですが、このミニカーで当時はこんな感じのトラックがあったのだということを知ることができ、面白いミニカーです。特に荷台に積んだ樽は本物の木材で作られているので、プラスチック製の物とは違って実にリアルです。(樽は荷台から取り外すこともできます) これ以外にもミニオールは同じルノーの幌付トラックもモデル化しています。ミニオールのミニカーは全体がプラスチックでできているので、このトラックは経年変化でボディが少し変形しています。 以下はフロント/リアの拡大画像と運転席部分の拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

RENAULT 14/18CV CAMION 1
RENAULT 14/18CV CAMION 2

 以下は1960-1970年代に発売されたMINIALUXE(ミニオール)製のルノー 軍用トラック(CAMION DE GUERRE) 1907 (1/43 型番23)の画像です。フランス語の「CAMION DE GUERRE」とは「WAR TRUCK」の意で軍用物資を運搬するトラックのようです。上記のトラックにより年式が古く、フロントウィンドースクリーンとヘッドライトが付いていません。このトラックは経年変化でボディが大きく弓なりに変形しています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
RENAULT 14/18CV CAMION 3
RENAULT 14/18CV CAMION 4

 以下は1983年に発売されたマッチボックス製のルノー AG バン 1910 (1/38 型番Y25)の画像です。これはタイプ AGの商用バンで、「PELLIER」のロゴと広告を表示したデリバリーバンです。なお「PELLIER」(ペリエ)はフランスの炭酸入りミニラルウォーターのブランドです。広告用にデザインされた荷台が個性的で面白く、ルノー AGのクラシックカーとしても良い出来ばえです。マッチボックスは同じ型番で他の企業ロゴのバリエーションを数種類モデル化しています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
RENAULT AG VAN 1
RENAULT AG VAN 2

 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
RENAULT AG VAN 1
RENAULT AG VAN 2

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RENAULT TYPE AG BUS 1910 FRANCE

RENAULT TYPE AG BUS
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
RENAULT TYPE AG BUS


MATCHBOX Y44 1/38 108mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.1m 全幅約1.4m エンジン 変速機: 4気筒 1.2L? 3段変速
性能: 最高速 不詳  データーベースでルノー 初期モデルのミニカー検索

ルノー タイプ AG バス フランス 1910年

 

 ガソリン エンジンを搭載した最初のバスは1894年のベンツ バスとされていて、これは乗合い馬車にエンジンを搭載したものでした。自動車は辻馬車(タクシー)や乗合い馬車を代替する公共交通手段として発展してきました。乗合い馬車は路線バスに発展し、有名なロンドン 2階建てバスの最初のモデルは1904年頃に登場しています。(参照画像→ディムラー 2階建てバス 1904)

 ただ最初からこのような大型バスが一般化したわけではなく、その前段階としてタクシーを大型化したような小型バスがありました。このような小型バスは鉄道の駅から最寄りのホテルまでお客を送迎する送迎バスとして始まったようです。この送迎バスが発展して、大都市から近郊の町(駅)まで定期運行するローカル線が登場するようになりました。また観光地などへの道路が整備されたことで、バカンス旅行にもバスが使われるようになり、豪華な観光バスも登場するようになりました。

 

 ルノー タイプ AGのタクシーは「タクシー ド ラ マルヌ」として有名で、当時のフランスの代表的なタクシーでした。当時のバス事業者は小型バスのベースとしてもタイプ AGを使っていたようです。多人数を乗せるタクシーは1906年頃に登場し、様々なサイズのバスが作れられ、フランスでもルノーの2階建てバスがあったようです。なおタイプ AGはバスだけではなく救急車や商用バン/トラックにも使われました。(実車画像→ ルノー 2階建てバス 1927年)

 

 

 ミニカーはマッチボックス製で、1991年頃に発売されました。ルノー タイプ AGの路線バスをモデル化しています。 側面の「WESSERLING BUSSANG」の表示は、フランスの東端にあるウェセルランとその近郊のビュッサンとの間を運行する路線のことで、「Vincent Fontaine」は人名でしょうか? 客室はリアに昇降口があり、室内は中央が通路で対面式のベンチシートがあります。(実車画像には乗車定員が15人と記されていますが、そんなに乗れるのかやや疑問?) 縮尺1/38と中途半端なサイズで最近のミニカーほど精密ではありませんが、マッチボックスのクラシックカーにはノスタルジックで素朴な味わいがあります。(時代考証もある程度きちんとされています) マッチボックスはタイプ AG 商用バンもモデル化しています。以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

RENAULT TYPE AG BUS 1
RENAULT TYPE AG BUS 2

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GREGOIRE TRIPLE BERLINE (14/24HP) 1910 FRANCE

GREGOIRE TRIPLE BERLINE (14/24HP)
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
GREGOIRE TRIPLE BERLINE (14/24HP)


SAFIR 101 1/43 132㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約5.6m 全幅約1.9m エンジン 変速機: 4気筒 3.2L 24HP? 
性能:   

グレゴアール トリプル ベルリーヌ (14/24HP) フランス 1910年

 

 フランスの自動車/航空機用エンジンメーカーであったグレゴアール社はP.J.グレゴアール(Pierre Joseph Gr?goire)が1902年に設立しました。グレゴアール社は1904年から自動車製造に乗りだし単気筒/2気筒/4気筒/6気筒エンジンを搭載したモデルを製造しました。アルミ合金ピストンをいち早く採用した4気筒エンジン、6気筒スリーブバルブエンジン、第1次大戦後にOHV(オーバーヘッドバルブ)を採用した高性能な4気筒エンジンを開発するなど、エンジン技術には優れていたようです。ただいずれもあまり売れなかったようで、結局1924年に倒産しました。なお同じグレゴアールという名前で1947年設立で1962年まで存在したフランスの自動車会社もありましたが、上記とは関係のない別会社でした。

 

 画像のトリプル ベルリーヌと称するモデルは、その変わったスタイルで有名でした。現在のキャンピングカーの元祖のような6人乗りの乗用車で、3台の馬車を連結したようなボディの為トリプル ベルリーヌと呼ばれています。この長いボディは自動車で快適に旅行ができるように設計されたもので、屋根の上とリアには長距離旅行に必要な荷物がたくさん積めるトランクが載っています。室内の内装はレースでトリミングされたベルベット張りの豪華なもので、窓にはカーテンがついていました。広い室内を生かした軍用救急車仕様もあったようです。(実車画像→ グレゴアール 軍用救急車 )

 

 

 ミニカーはフランスのサフィール製で1960年代に発売されました。ボディの材質はプラスチック製で実車のユニークなボディを忠実に再現しています。赤/黒のカラーリングがきれいで、当時のミニカーとしてはかなり良い出来ばえで、サフィールの傑作ミニカーでした。屋根の上にはトランクが載っていますが、その屋根は室内を見る為に簡単に取外せるようになっていて、屋根を外すと室内を見ることができます。なおグレゴアールのミニカーはこのサフィール製しかないようです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

GREGOIRE TRIPLE BERLINE 1
GREGOIRE TRIPLE BERLINE 2

 以下はキャビンの拡大画像と屋根を取り外した室内の画像です.。馬車風のキャビンには4個のランタンが付いていますが、このランタンは簡単に外れるので欠品が多く全部そろえる為に複数台購入しました。室内にはソファーのようなラウンジシートがあり、その前方にはクラシックな洋風箪笥(チェスト)が備えられています。画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
GREGOIRE TRIPLE BERLINE 1


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BERLIET 1910 FRANCE

BERLIET
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BERLIET


RAMI 33 1/43 96㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.3m 全幅約1.8m エンジン 変速機: 4気筒 2.4L 21HP 4段変速
性能: 最高速80km/h  データーベースでベルリエ のミニカー検索

ベルリエ フランス 1910年

 

 モーリス ベルリエ(Marius Berliet)は1894年に自動車の製作をはじめて単気筒/2気筒エンジン搭載車を完成させ1899年にベルリエ自動車会社を設立し、廃業した自動車メーカーの工場を引き継いで生産を始めました。1903年に登場した4気筒エンジン搭載車20CVは同時期のドイツのメルセデスとよく似ていました。この車は1906年にアメリカのアメリカン ロコモーティブ社がライセンスを買い取ってALCOという名前で販売したとのことで、当時としては優秀な車だったようです。(実車画像→ ベルリエ 20CV 1903)

 

 1910年代にはベルリエは4気筒/6気筒エンジンを搭載する乗用車とバス/トラックを生産していました。第1次大戦の勃発でフランス軍向けの軍用トラックの需要が急増し、ベルリエは工場を増設して対応しました。またルノーのライセンスによる戦車の生産も行うようになりました。戦後も乗用車の生産を行いましたが経営不振となり、1930年代後半に乗用車生産からトラックなどの産業用車両生産に転換しました。その後1974年にルノーに買収され、1978年にサビエムと合併してルノー トラックス社となり、1980年にベルリエ ブランドは消えました。

 

 

 ミニカーは1960-1970年代に発売されたラミー(RAMI)製です。モデル化している実車がはっきりとは分からないのですが、年式からおそらくタイプ Cと呼ばれる4気筒2.4Lエンジンを搭載した中型車をモデル化していると考えます。密閉されたキャビンを持つセダンですので当時としては高級車であったと思われます。実車のキャビンがこのような緑と白に塗り分けられていたとは思えませんので、このカラーリングはラミーの創作だと思います。ラミーのミニカーとしては後期のものなので、フロントグリル/ヘッドライト/ホイールにメッキしたプラスチックが採用されています。またカラフルなカラーリングと側面の木目模様のライン(デカール)など凝った仕上げで、当時としては良い出来ばえのミニカーになっていました。第2次大戦後のベルリエはトラック専門メーカーになりましたので、ベルリエのミニカーはほとんどがトラックです。(トラックのミニカー→ ベルリエ ストラデール トラック) トラック以外のベルリエのミニカーとしては、これと2015年に発売されたイクソ製のベルリエ 11CV ドーフィン 1939年式(ベルリエの最後の乗用車)ぐらいしかありません。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

BERLIET 1
BERLIET 2

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LORRAINE DIETRICH 1911 FRANCE

LORRAINE DIETRICH
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
LORRAINE DIETRICH


RAMI 24 1/43 93㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4m エンジン 変速機: 4気筒 2.2L 28HP 4段変速
性能: 最高速 不詳  データーベースでロレーヌ ディートリッヒのミニカー検索

ロレーヌ ディートリッヒ フランス 1911年

 

 ディートリッヒ社はフランスのロレーヌ地方(ドイツとの国境地帯)で蒸気機関車を作っていた会社で、1896年に自動車製造に進出しました。後にブガッティ社を設立したことで有名な技術者エットーレ ブガッティを採用し、彼が設計した4気筒5.4Lエンジン搭載車24HPはこの会社の名前を上げました。1907年にはイソッタ フラスキーニ社と一時的に合併し、イソッタ フラスキーニの設計した高級車も製造しました。この頃から車の名前をロレーヌ ディートリッヒに改名し、高性能な車として評価されるようになりました。(実車画像→ ディートリッヒ 24HP 1903)

 

 1919年に高性能なOHC(オーバーヘッドバルブ)、アルミ製ピストンを採用した高性能な6気筒3.5Lエンジンを搭載した新型車15CVが登場しました。15CVのレース仕様車B3-6は1925年と1926年のルマンで連続優勝したことで有名です。15CVはエンジンを4Lに拡大した20CVに変更されて生産されましたが、その頃から自動車部門は採算が悪化しました。ディートリッヒ社は1930年にフランスの航空機メーカーに吸収されて航空機エンジンと軍用車両の生産を行うようになり、1935年に自動車生産から撤退しました。

 

 

 ミニカーは1960-1970年代に発売されたラミー(RAMI)製です。ラミーのミニカーを解説しているWEBサイトには実車画像が掲載されているので、どこかの自動車博物館に保管されていた車をモデル化しているのでしょうが、モデル化している実車が良くわかりません。年式から判断して4気筒2.2Lエンジンを搭載した中型車(タイプ LF?)をモデル化していると思われますが、確証はありません。独特の形状をしたフロントグリル形状(グリルが網目なのは時代を感じさせます)やボンネットとボディの接合部形状など当時の技術で実車をそれなりにうまく再現しています。セダンボディも実車に忠実な造形で当時のミニカーとしては良い出来ばえでした。これ以外のロレーヌ ディートリッヒのミニカーはMINIALUE(ミニオール)、イクソのB3-6、ミニチャンプスのB3-6などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

LORRAINE DIETRICH 1911 1
LORRAINE DIETRICH 1911 2

 以下は1960-1970年代に発売されたMINIALUE(ミニオール)製のロレーヌ ディートリッヒ 1905 (1/43 型番32)の画像です。これもモデルとなった実車が良くわからないのですが、WEBではタイプ CO 40 CV と書かれているサイトがありました。ただそのタイプ CO 40 CVの実車画像とはかなり違っているので、ボンネット周りの形状が似ている上記と同じ1910年頃の車をモデル化しているのではないかと考えますが、これも確証はありません。MINIALUEのミニカーはプラスチック製で、クラシックカーに付き物の灯火類や操作レバーがきちんと別パーツで取付けられているなど、当時のミニカーとしてはリアルに作ってありました。このロレーヌ ディートリッヒも独特の形状をしたフロントグリルがうまく再現されていて、サイクルフェンダーを持った当時の軽快なツーリングカーがうまく再現されていると思います。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
LORRAINE DIETRICH 1905 1
LORRAINE DIETRICH 1905 2

 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
LORRAINE DIETRICH 1905 3
LORRAINE DIETRICH 1905 4

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